日商簿記検定は出題区分の改定が行われ、2016年6月に実施される第143回試験から新しく生まれ変わります。
出題区分の改定とは出題範囲が変更になるということと同じで、特に日商簿記2級が最も大きな影響を受けることになります。
各級の出題範囲が変更になると、テキストや問題集といった試験対策書籍の内容も当然変更になりますが、意外に各出版社の対応がバラバラなので注意が必要です。
私は今回、出題区分の改定に対応しているとされる各出版社のテキストを購入して、内容が本当に大丈夫か検証してみました。これから日商簿記を受験するため勉強を始めようという方、テキストを買い直そうとしている方は、ぜひ参考にしてみてください。
日商簿記2級テキスト比較
日商簿記2級のテキストで用意したのは次の6冊です。
- みんなが欲しかった 簿記の教科書 日商2級 商業簿記 第5版
- スッキリわかる 日商簿記2級 商業簿記 第8版 [テキスト&問題集]
- 簿記教科書 パブロフ流でみんな合格 日商簿記2級 商業簿記 テキスト&問題集 第2版
- 日商簿記2級 光速マスターNEO 商業簿記 テキスト
- 2級商業簿記〔平成28年度版〕 (【検定簿記講義】)
- サクッとうかる日商2級商業簿記 テキスト+問題集
試験の主催団体である日本商工会議所が発表している出題区分表に基づくと、平成28年度試験に対応しているかチェックするときのポイントは、次の3つ。(商工会議所簿記検定試験出題区分表(平成28年度適用)の公表について | 商工会議所の検定試験)
- 為替手形の出題を前提とした項目が残っている➡NG
- 「未収金」を使っている➡NG
- テキスト・問題集一体型なのに問題数が少ない➡NG
「為替手形」は日商簿記2級と3級では出題されないことになりました。したがって、為替手形の出題を前提とした項目が残っているテキストは新出題区分に対応していない可能性があるのでおすすめできません。
日商簿記では許容勘定科目が定められています。今回の改定で、「未収金」という勘定科目は「未収入金」がメインの勘定科目となると変更されています。「未収金」が残っている書籍はおすすめできません。
最近では、テキスト・問題集一体型の試験対策本が出ています。簿記ではたくさんの問題演習を重ねることが大切なので、「問題集」というからにはそれなりの問題数がなければ試験対策として不十分です。たくさんの問題が収録されている本を選びましょう。
各出版社のテキストをチェックすると次の表のようになりました。
タイトル | 為替手形 | 未収入金 | 問題数 |
---|---|---|---|
〇
|
〇
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―
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〇
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〇
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〇
|
|
〇
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△
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〇
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〇
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△
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―
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〇
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△
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―
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〇
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〇
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×
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「パブロフ流日商簿記2級商業簿記」と、「日商簿記2級光速マスターNEO」の2冊は、「未収金」勘定が残ってしまっていました。
「検定簿記講義 日商2級」は、テキスト本文では「未収入金」に変更されていたものの、過去問題集の勘定科目群に修正漏れがあったため△としました。
「サクッとうかる日商2級 商業簿記」は、テキスト・問題集一体型の本ですが、収録問題数が少なすぎるため、試験対策書籍としてはおすすめできません。
日商2級おすすめテキスト
以上の検討の結果、日商簿記2級対策書籍としては、次の2冊のうちどちらかを選んで使用するといいでしょう。
みんなが欲しかった 簿記の教科書 日商2級 商業簿記
スッキリわかる 日商簿記2級 商業簿記
▼携帯に便利なKindle版の簿記テキスト
簿記教科書 パブロフ流でみんな合格 日商簿記2級 商業簿記 テキスト&問題集 第2版
日商簿記3級テキスト比較
次は3級です。以下の5冊を比較してみました。
- みんなが欲しかった 簿記の教科書 日商3級 商業簿記 第4版
- スッキリわかる 日商簿記3級 第7版 [テキスト&問題集]
- 簿記教科書 パブロフ流でみんな合格 日商簿記3級 テキスト&問題集 第2版
- 3級商業簿記〈平成28年度版〉 (【検定簿記講義】)
- サクッとうかる日商3級商業簿記 テキスト+問題集
日商簿記3級でもチェックポイントは2級の場合と同様です。書店で立ち読みして比較する場合は、次の点をチェックするようにしてください。
- 為替手形の出題を前提とした項目が残っている➡NG
- 「未収金」を使っている➡NG
- テキスト・問題集一体型なのに問題数が少ない➡NG
「為替手形」は日商簿記2級と3級では出題されないことになりました。したがって、為替手形の出題を前提とした項目が残っているテキストは新出題区分に対応していない可能性があるのでおすすめできません。
日商簿記では許容勘定科目が定められています。今回の改定で、「未収金」という勘定科目は「未収入金」がメインの勘定科目となると変更されています。「未収金」が残っている書籍はおすすめできません。
最近では、テキスト・問題集一体型の試験対策本が出ています。簿記ではたくさんの問題演習を重ねることが大切なので、「問題集」というからにはそれなりの問題数が収録されていなければ試験対策として不十分です。たくさんの問題が収録されている本を選びましょう。
タイトル | 為替手形 | 未収入金 | 問題数 |
---|---|---|---|
〇
|
〇
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―
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〇
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〇
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〇
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△
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△
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〇
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〇
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△
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―
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〇
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〇
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×
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「パブロフ流日商簿記3級商業簿記」は出版年月日が2015年9月18日となっており、新しい出題区分に対応できていません。本文に「為替手形」の項目がバッチリ残ってしまっており、また「未収金」がメインの勘定科目となっています。
「検定簿記講義 日商3級」は、テキスト本文では「未収入金」に変更されていたものの、過去問題集の勘定科目群に修正漏れがあったため△としました。
「サクッとうかる日商3級 商業簿記」は、テキスト・問題集一体型の本ですが、収録問題数が少なすぎるため、試験対策書籍としてはおすすめできません。
日商3級おすすめテキスト
以上の検討の結果、日商簿記3級対策書籍のおすすめは、次の2冊です。どちらかを選んで使用するといいでしょう。
みんなが欲しかった 簿記の教科書 日商3級 商業簿記
スッキリわかる 日商簿記3級
▼携帯に便利なKindle版の簿記テキスト
パブロフ流でみんな合格 日商簿記3級
おすすめテキストを使った独学者向け講座
検討の結果、おすすめテキストはいずれもTAC出版の本になりました。
TAC出版では、これらの書籍を教材とした独学者向けの講座独学道場を開講しています。独学では勉強がきちんとできるか自信がないという方は、独学道場を使ってみるのもいいと思います。
以上、簡単ではありますが、日商簿記に合格できるテキストの選び方について考えてみました。
教材選びは合格のカギとなります。自分の目でしっかり内容を確かめて、納得した上で本を選ぶようにしましょう。