<< 中学受験について考えるとき読みたい本をまとめてみました。
中学受験「必笑法」
本書のテーマは、中学受験の「必勝法」ではなく「必笑法」。
つまり、第一志望合格かどうかにかかわらず、中学受験が終わったあとに家族が「やってよかった」と笑顔になれるならその受験は大成功ということ。
他人と比べない中学受験、がんばりすぎない中学受験、子供を潰さない中学受験、親も成長できる中学受験のすすめが書かれています。(内容紹介より)
第1章は中学受験に取り組む親の心構え。
第2章は塾選びおよび塾との付き合い方。
第3章では学校選びや併願戦略。
第4章は中学受験という機会を通した家族の成長について。
この中で一番心に響いたのは、何といっても第1章 中学受験に取り組む親の心構え!。
中学受験(特に超難関校受験の場合)は、Aという塾が子供たちに101やらせていたら、Bという塾は102やらせるようになる。それでBという塾が合格実績を伸ばすと、今度はA塾が103やらせる。という具合に塾同士が競い合い、年を追うごとに、際限なくレベルが上がっていくという競争社会。
そのような環境で、勉強が得意な子たちがハイレベルな競争を繰り広げています。
試験なので絶対合格ということはありえず、中学受験で最終的に第一志望に合格できる子どもの割合は3割にも2割にも満たないとのこと。
「そんな過酷な世界に我が子を放り込んでいいのか、よく考えて!」というおおたさんのメッセージが伝わってきます。
おおたさんによると、実は中学受験も全入時代。受験者総数に対する募集者定員総数の割合は107%で、誰でもどこかの中学には必ず入れる状況だそうです。
どんなに実力のある子でも、一発勝負の試験で不合格になる可能性はあります。
そこで
- 努力が報われないこともあるという現実を受け入れること
- 何が何でも第一志望でないとダメというこだわりを捨てること
- 受かった学校が最高の学校だと信じること
- わが子の才能を最大限評価すること
このような覚悟ができないなら、第一志望でないと不幸せという結果になってしまうので、中学受験はやめた方がいい、というわけです。
ちなみに私は北海道出身。「中学受験!何ソレ?」という環境で育ったので、関東や関西の都市圏で加熱していた中学受験はまさに未知の世界。
もしわが娘ちぇぶちゃんに中学受験をさせるなら、親として相当の覚悟が求められるわけね...。と、身の引き締まる思いがしました。
そもそも志望校選びをどうするかについては、第3章でまとめられています。
子どもにとって最高の学校を見つけるためにも、早いうちからどんどん学校説明会等に足を運んでいきたいです。
各章の最後に設けられている「必笑Q&A」では、中学受験生の父母の質問におおたさんが回答しています。
このような興味深い質問に、おおたさんがズバッと回答されています。
- 御三家以外はダメという夫を説得するには、どうしたらいいでしょうか?
- 担任の先生が、通塾を快く思っていないようです。親として何かすべきですか?
- 夫が息子に怒鳴りながら勉強を教えているですが。
- 第二志望の進学。本人は気に入っている学校なのに、夫が否定的で困っています。
Amazon カスタマーレビューでも高評価。
中学受験に挑む前に読んでおきたい、親必読の書だと思います。
目次
第1章 中学受験で家庭から笑顔が消えるわけ
- 野球少年には賞賛、中学受験生には同情?
- 学校より塾の勉強のほうが「楽しい」
- 10歳以降は勉強に適した脳になる
- 中学受験をやめたほうがいい親の特徴
中学受験生の親がもつべき心構え - 「結局同じ大学」では意味がない?
- 約300の学校が1つの巨大な教育システム
- 必笑Q&A
出来のいい子ですが、私はダメ母。中学受験ができるでしょうか?
中学受験か高校受験かで夫婦が対立。大学入試はどちらが有利ですか?
子供は算数が苦手です。中学受験をあきらめたほうがいいのでしょうか?
姉に影響されたのか、弟も受験をしたいと……。でも、どこまで本気?
御三家以外はダメという夫を説得するには、どうしたらいいでしょうか。
この春6年になる娘。受験勉強させずに、中学受験をさせていいでしょうか?
第2章 塾に頼っても、塾に振り回されない
- 中学受験勉強はゴールのわからないマラソン
- スモールステップの設定に塾の思想が表れる
- 塾という第三者の存在が親子のメンタル面を支える
- 最難関対策を得意とする大手塾での過当競争
- 高い実績を誇る大手塾にも弱点はある
- 中小塾への転塾を検討すべきタイミングとは?
- 良い中小塾を見分ける5つの観点
中小塾選びのポイント - 「名物講師」必ずしも「名塾長」ならず
- 必笑Q&A
週1の個別指導塾とママ塾で中学受験を目指していますが、無理でしょうか?
御三家に特化した塾に通っていますが、宿題のレベルが高すぎるように思います。
担任の先生が、通塾を快く思っていないようです。親として何かすべきですか?
自ら受験を希望しながらも反抗期の娘。ダラダラ過ごしています。
夫が息子に怒鳴りながら勉強を教えているのですが。
第3章 「たかが偏差値、されど偏差値」の志望校選び
- わが子に合う学校の見分け方
- 運動会は「組織」、文化祭は「個」
- 入試問題に学校の教育観が表れる
- 首都圏中学受験生の平均出願校は6~7校
- 精神的な仕上げのための「おためし」受験
- 偏差値が足りなくたって「第一志望」はあきらめない
- 「最悪の事態」を防ぐための偏差値活用術
偏差値を利用した併願戦略ステップ - 教科の枠を超えた「新型中学入試」の出現
- 背景には公立中高一貫校の台頭と大学入試改革
- 中学入試もアクティブ・ラーニング形式に
- 偏差値に代わる新学力基準「思考コード」を知っていますか?
- 必笑Q&A
娘は共学を希望。でも親の私は女子校に行ってほしいと思い、対立しています。
志望校目指して一心に勉強しても偏差値が届きません。
娘の希望は低偏差値の学校。もっと上を目指すようすすめたほうがいいでしょうか。
第二志望に進学。本人は気に入っている学校なのに、夫が否定的で困っています。
第4章 「最強の親」は、わが子を尊敬できる親
- 「あなたのため」は呪いの言葉
- 理性の皮を被った感情による暴力
子供を追い詰めるNGワード - イラ立ちの原因は必ず自分のなかにある
- 「捨てる勇気」こそ「親の責任」
- 学歴コンプレックスと高学歴はコインの表裏
- 親のエゴが暴走する
- 入試本番前日に入試問題を入手したいか?
- ダークサイドから子供を守れ!
- 家庭をほっとできる場所にしよう
子供のやる気を潰すNGワード - ピンチのときの悪循環回避術
悪循環を回避する発想の転換 - 「親は無力」という悟りの境地へ
- 中学受験生への神様からの贈り物
- 中学受験生はヒーローだ
- 必笑Q&A
成績が下がって落ち込む娘。どう励ましていいのかわかりません。
男女双子の中学受験。女の子はがんばっていますが、男の子が全然勉強しません。
最難関を目標にしていた娘が、突然受験をやめると言い出した。
息子が希望した受験でしたが不合格。これを糧にするにはどうしたらいい?
中学受験「必笑法」